大人の発達障害 生きずらい

大人の発達障害 生きずらい

生きずらい大人の発達障害

近年、多くの精神科クリニックで、「自分は発達障害ではないか」と受診する人が増えています。子供の頃は気付かなかったけど社会に出てなぜかうまくいかない。その理由を探すうち、発達障害に思い当たるのでしょう。発達障害と診断する場合ほとんどは自閉スペクトラム症です。 ADHD の人も若干はいます。発達障害はこの二つあるいは合併の場合を指しますが、本ブログでは外来に訪れる人で圧倒的に多い自閉スペクトラム症を念頭においています。

発達障害の中心的な課題は「生きづらさ」です。人間関係を作ること、職業生活、家庭生活全てに生きづらさが生じます。私のブログでは特に職場での課題を取り上げていきます。本人に生きづらさのほか同僚部下上司雇用主あるいは配偶者など本人と関わりのある人達にも深刻な問題を作ります。発達障害は精神科医でもなかなか理解しがたい障害です。本ブログの目的の一つは、発達障害をどう理解し、どう対処したら良いかをできるだけはわかりやすくお伝えすることです。ここで「障害」という言葉を使いました。これからも使うことになりますが私は発達障害 を「障害」でないと考えています。注意欠如・多動症や自閉スペクトラム症などのある人は、多数派の脳に対する少数派の脳の持ち主で、人類の発生以来長い間、有用性を保ってきた側面があります。産業構造が大きく変化し、農業、水産業、職人の仕事は少なくなって会社員が増え、ホウレンソウが重視されるようになりました。

我が国の文化である「気配り」と「おもてなし」が要求され、「空気を読むこと」「忖度すること」ができない人が、精神科を受診するようになりました。発達障害のある人は、幼い時から環境や人間関係のストレスにさらされています。そのために、さまざまな精神的な障害を受けやすいところがあります。幼いときからの親の養育、教師の関わりも重要な課題となります。

このブログがそうした人たちに役立てば幸いです。

発達障害がもたらす困難と問題は多岐にわたる

発達障害があると、さまざまな領域で困難や問題をもたらします。しかし、

本人はなぜうまくいかないのか理由がわかりません。それがさらに問題を深刻にさせます。生きづらさから、うつ病などを合併したり、うまくできない自分への評価が下がってしまうこともあります。「生きづらいのは自分のせいだ」と自己評価が下がり自尊心が傷ついていくのです。生きづらさは大人になるほど深刻に発達障害は生来のものですから,困難や問題は多少なりとも子ども時代からありました。ただ,成長とともに社会生活の範囲が広がるので,深刻になっていきます。ことに対人関係がうまくいかず、恋人ができない、結婚しても家庭を維持できない、仕事は失敗ばかり、コミュニケーションが取れないなどの問題が出てきます。

不当な評価につながってしまう

発達障害のある人は、本来持っている力がうまく発揮できていません。 そのため、職場で不当に低く評価されてしまいます。現代は仕事を自分で作る痩せることが有能さの条件です。しかし、 自閉スペクトラム症では、特性の一つにイマジネーションの障害があるので、仕事を指示通りに進めることができても、次に何が必要なのかが想像できません。その結果、「言われたことしかできない」「マニュアル人間」「気が利かない」と言った評価につながってしまうのです。

 

本人の生きづらさは発達の特性によるもの

人は一人では生きていかれません。 親密な関係を作り、立場を十分と入れ替えること、気持ちを通じ合わせること、会話を楽しむこと、あるいは状況に臨機応変に対応することなどが、周りから要求されます。生きづらいのはこれらの力が足りないからです。発達障害は、 うつ病など様々な精神障害の発症を促し、生きづらさを強めることになります。

発達障害の特性による症状は、仕事や学業に支障をきたし、職業上の困難など、生きづらさにつながります。さらに、発達障害がベースになって、うつ病などの精神疾患を合併します。

 

年代によって困難と問題は変わっていく

 

大人になってから発達障害に気づく人は少なくありませんが、実は本人は子供の頃から生きづらさを感じていたと言います。それぞれの年代ごとの困難や問題がありました。

 

乳幼児期には愛着が育ちにくい

 

発達障害への困難は実は乳幼児期からあり、不適切な養育の原因になっています。育児に馴染みにくい子供に育っていくので、親は育てにくい子どもと感じてしまい愛着が十分に形成されません。 中には親のどちらかあるいは両親に発達障害があり、そのため養育がうまくいかなかったケースもあります。

 

思春期には友達を作りにくい

 

思春期は、 自分と他人との関係が重要になってくる時期です。ところが発達障害があると、言わなくてもいいことを言ってしまったり、空気が読めなかったりするので、友達を怒らせてしまいます。また球技が苦手など不器用さもあります。こうした特性のため、孤立したり、いじめのターゲットになったりします。引きこもりや不登校の子供の中に発達障害があることが大変多いことが分かってきました。自意識が出てくるので自分はどこか人と違うという感情を持つようになります。

 

青年期には仕事上の困難も

それでも学生時代はなんとか送ることはできます。多少,場にそぐわないことを言っても「おもしろいやつだ」などと笑ってすまされることもありました。ところが、職場ではそうはいきません。適切な会話ができないため、周囲を怒らせることがしばしば。仕事が覚えられない、臨機応変に対応できないなど、トラブル続きです。人の気持ちを読むことが苦手なので、恋愛や結婚がうまくいかないという問題もあります。