発達障害の2次障害としてのうつ

発達障害の2次障害としてのうつ

大人になると消えてゆく症状もある

職場で問題をかかえているのは軽症の自閉スペクトラム症のほか、ADHDの人もいます主に四つの特性がありますが、そのうちの二つは大人になるにつれ徐々に目立たなくなります。

多動性と興奮性は目立たなくなる

大人のADHDでは多動性と興奮性が目立たなくなってきて,不注意、衝動性が残ります。

多動性では、姿勢を保てなかったりします。職場に適応できている人は、思考が活発になり,アイデアが生まれるなど、プラス面に現れることもあります。

不注意は持続し特に女性に多い

不注意は職場ではトラブルのもとになります。ケアレスミスが頻発し,何度も同じミスをくり返します。気が散りやすく、関心があることには熱中するけれど、難しいことには集中が続きません。

忘れ物やなくし物が多く、整理整頓が苦手です。

多動はほとんど目立たないときADHD (Attention Deficit

Hyperactivity Disorder)のHを抜いてADDということもあります。

衝動性は混とんとした状態

頭の中が混沌として思考をまとめられません。計画が立てられず優先順位がつけられません。片づけができません。

やるべきことを先送りして、間に合わなかったりします。最初のアクションを起こせないためで、これを本書では「初動障害」とよんでいます。遅刻が多いのも、このためです。

精神疾患や他の発達障害との合併も

ADHDでは、子どものころから親や教師に叱られることが多くありました。活発で外交的な外面の下で、傷つき、自尊心が低下している人が多いのです。そのため、うつ病などと合併することもあります。

多くの精神疾患に発達障害が関わっている

発達障害はそれ自体の特性や症状が困難や問題のもとになりますが、精神疾患を合併することも困難につながります。

別の精神疾患を合併していないか、見直しが必要な場合があります。

精神疾患や障害の根底に発達障害を考える

多くの精神疾患の根底に自閉スペクトラム症があり、合併していることが、近年明らかになってきました。すでに診断されている場合、合併している精神疾患への薬療法のほか、発達障害への対策も講じなければなりません。

また、発達障害がある場合、二次障害として精神疾患を発症しないよう予防的な配慮も必要です。

一方、発達障窖だったのに、別の精神疾患と誤診されていることもあります。

薬を飲んでも改善しない場合本当は発達障害ではないか、を見直す必要があります。

自閉スペクトラム症があると、統合失調症の陽性症状とよばれる幻覚や妄想のような症状が現れることがあります。タイムスリップ現象という、幻覚のような症状ですが、多くはストレスが高じたための一過性の症状です。意欲の低下などの陰性症状は出現しないので、統合失調症とは違うことがわかります。

強迫症

自閉スペクトラム症では、家を出るまでの順番が決まっているなど儀式や観念強迫のような行為や、ひんぱんに手を洗うなどの不潔恐怖のような行為が多く現れます。強迫症では、本人がその行為をやめたいと思っていることが、発達障害との違いです. ADHDでは、ミスを出さないように確認恐怖が起こることがあります。

不安症

不安症のなかでもパニック症との合併や誤診があります。自閉スペクトラム症では、突然の変化に対応できず、パニックになることがあります。この場合のパニックはパニック発作とは異なり、混乱、動転といったものです。

二次障害としてうつ病を起こしやすい

「私は発達障害かもしれない」と受診する人が増えている一方,抑うつ症状を訴えて

受診してくる人のベースに、自閉スペクトラム症などの発達障害が見つかることがあります。

叱責、自己否定感がうつ病につながる

発達障害を一次障害とすると,二次障害としてうつ病を発症することがあります。

職場での失敗から、叱責されてばかりいると、「自分はダメだ」「役に立たない人間だ」などと自己否定感が強くなっていきます。「なぜこれくらいのことができない?」などと周囲に理解されないことも大きなストレスで、しかも、そのストレスは日々続きます。発達障害は目に見える障害ではないので、周囲の人には、「なぜこれくらいのことができないのか」「怠けているのか」と誤解されがちです。けっして怠けているわけではないし、わがままを言っているつもりもないのに、こうした評価をされると挫折感をもってしまいます。私も挫折しまくりました。

発達障害のある人の多くは、来まじめな性格ゆえ、「失敗してはいけない」と緊張するようになります。それでも失敗することはあります。挫折感に加え、「自分のせいだ」と自責感が強まったり、「どうしてうまくできないのだろう」と無力感にとらわれたりします。こうした感情からうつ病につながっていきます。

抑うつ症状のために社会に出られないのか、発達障害の特性のために社会に適合できないのか、中心となる問題点をしぼります。

そのうえでうつ病の治療をおこないます。発達障害を合併している場合には、社会技能訓練などの精神療法をすすめます。発達障害ゆえの問題や困難を軽減させるよう、しっかり対策を立てましょう。

うつ病を二次障害と見分けるのは困難

一次障害である発達障害に気づかれない理由には、発達障害が児童精神科医にゆだねられていることがあります。子どものころに発達障害とわかるのは重症の人です。児童精神科医は軽症の人をみていませんそもそも受診しないのです。ところが軽症の人は、大人になって職場や家庭で困難をかかえるようになり、抑うつ症状から精神科を受診します。うつ病と診断されるでしょうがベースにある発達障害の診断は困難です。精神科医はこれまで発達障害に接することが少なかったうえ、その人のその人の子ども時代をみていないことが、さらに明確化を難しくしています。

回復しても、一次障害である発達障害に対応しないと、うつ病が再発する可能性が高くなります。一次障害として発達障害があったのか 、簡単なことではありませんがしっかり見分けることが大切です。

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