ポジショニング2

ポジショニング2

ポジショニングの手順


2軸のマップを使って考える場合のポジショニングの基本的な手順について説明していこう。



ステップ1 :軸となりうる属性をリストアップする。


最初のステップは、自社製品の特徴を洗い出すことである。ただし、あまりにも製品特性にこだわりすぎると、機能本位になりがちなので注意が必要である。ポジショニングは製品に付随可能なイメージであれば何でも良い。例えばコーヒーを機能面だけから考えると、「コクがある」「香りが良い」「目が覚める」などが考えられるが、これらは明確な差別化が難しく、訴求力が弱い。それに対して缶コーヒーの「ジョージア」は一時期、安らぎというポジショニングを取ることにより、男性会社員の癒しを求める心をうまく捉えた。こうした顕在的あるいは潜在的な顧客ニーズに訴求するポジショニングを考えることが、軸探しの基本になる。
いくら顧客ニーズを満たしていても、競合製品も同じポジショニングをとっていたら、必ずしも自社製品を選択してもらえるとは限らない。他社が取っていない独自のポジショニングの軸を探すことも、重要なポイントである。機能面で明らかに独自性があれば、新たな軸を打ち出すことができ、競合に対して強力な武器となることは言うまでもない。

一方、明らかな優位点がない場合でもあきらめてはいけない。機能としては当たり前のことでも、他者が打ち出していないポジショニングで、消費者にとって新しい特徴や価値として訴求できれば十分に意味はあるのだ。従って製品特性に縛られずに、独自性、顧客ニーズという視点を含めて、様々なポジショニングの軸の可能性をリストアップしていくことが望ましい。



ステップ2:戦略的な特性を絞り込む


前述の通り、顧客に強く訴求できる特徴は経験的に二つ程度である。ステップ1 で洗い出した多くのポジショニングの軸から、最適な軸を二つ以内に絞り込むことで、最終的なポジショニングを作っていくことになる。では具体的にどのような観点で軸を絞り込めば良いだろうか。ポジショニングの条件とは何よりもまず「顧客に共感してもらえる」ことだ。その上で

①製品を他社製品よりも魅力的だと価格に認識してもらう

②追随を防ぐ

③自社製品間のカニバリゼーション共食いを避ける

という3点に注意しなくてはならない。

 

①自社製品を他社製品よりも魅力的だと顧客に認識してもらう



●新ポジションを創造する
新ポジションの創造には、何も「ウォークマン」のように新しいイノベーションが必要だというわけではない。従来品であっても、そこに新しい価値観を付与した提案ができれば新ポジションできるのである。例えば「エビス黒ビール」は「黒ビール」でかつ「プレミアム」という新しい組み合わせを訴求することで、発売直後はすぐに品切れになるほどの大ヒット製品となった。

●競合のポジションを弱める
自社が業界のリーダーである場合にはユニークなポジショニングを取ることだけが成功の秘訣とは限らない。
例えばチャレンジャー企業は、リーダー企業の製品と差別化したポジショニングを取るのが定石である。そこでチャレンジャー企業が新製品を出してきたら、リーダー企業はそれと全く同じポジショニングの製品を出すという同質化戦略をとることが可能だ。製品間にさほど明確な違いがなければ、知名度や信頼感で勝てるリーダー企業の製品を選ぶことが多いのである。

アメリカのコーラ業界のチャレンジャーであるペプシコーラは、カロリーを気にする消費者をターゲットにした「ダイエットペプシ」という大ヒット商品を生み出した。その後この顧客セグメントが大きくなってくると業界リーダーであるコカ・コーラは「ダイエット・コーラ」という類似商品を出して一気にシェアを奪った。

②競合の追随を防ぐ


●現行のポジションを強化する



自社製品のポジショニングが消費者に指示されている場合、他社の追随をかわす為に、そのポジショニングをさらに強めるという方法がある。基本的には「ますます〇〇になりました」というタイプのものである。

●競合が取りにくいポジショニングを取る

ポジショニングを取って競合製品と差別化してもすぐに真似されてしまっては意味がない。あらかじめ競合が取りにくいポジショニングを考えることも戦略的には重要な要件である。

③自社製品間のカニバリゼーションを避ける



同一カテゴリーに一社で複数の製品を出している場合、自社製品間で顧客の奪い合いになるようなポジショニングを取ってしまう危険性がある。このような状況をカニバリゼーションと言う。ポジショニングでは競合製品に対する優位性を訴えることが大切であり、自社製品同士のカニバリゼーションは極力避けるべきである。

 

ポジショニングの検証と見直し



戦略的にポジショニングを絞り込んだら、改めてそのポジショ二ングが有効であるかどうかを見直すことが肝要である。ポジショニング策定の段階では、時間を追うごとに、自社製品の特性に考えが集中しがちなので、次の2点について再確認してみると良い。

●ターゲット顧客のニーズを満たしているか

競合との差別化はできていても、売り手の考えるポジショニングに顧客が共感しなければ意味がない。そのポジショニングが本当にターゲット顧客のニーズを満たすものであるかどうか改めて検証する必要がある。

●競合製品とはっきり差別化できているか

一見すると、競合がまだ取っていないポジションのようでも、競合製品が簡単に適用できる場合は、明確な差別化ができているとは言えない。チャレンジャーがリーダー企業の製品に対抗するような場合は、特に注意が必要である。

一旦ポジショニングが成功しても、競合に対して優位性を永続的に発揮できるとは限らない。現在のポジショニングが優位性を発揮していない場合、自社及び競合の製品をどのように受け止めているかを知ることは、戦略的に有効なポジショニングの再検討における重要な判断材料となる。

顧客の認識を2軸で表したものは「パーセプション・マップ」と呼ぶ。企業側がマーケティング戦略を立てる上で能動的にポジショニングを測定する「ポジショニング・マップ」と区別して分析しマーケティング戦略の修正などに役立てる。
マーケティング戦略を見直す際にはまず顧客の認識を示すパーセプション・マップを作ってみてそれが現行のマーケティング戦略を立てた時のポジショニング・マップと異なっているなら基本的にはポジショニングの変更を考えるべきである。もちろんターゲット自体に変更すべき点があればその部分から見直さなければならないし、市場機会の前提が異なっていれば市場機会を再発見すべく、マーケティング戦略立案のより上位の概念に立ち戻って戦略を練り直す必要があるだろう。