製品戦略3 新製品開発プロセス①

製品戦略3 新製品開発プロセス①

新製品開発プロセス

 

新製品はどのようにして開発されるのだろうか。新製品のコンセプト作りは、セグメンテーションやポジショニングと並行して行われ狭義の製品戦略や他のマーケティングミックス戦略の上位に位置する。そのため戦略上の重要性も高い。

新製品の開発プロセスは4段階に分けることができる。

開発プロセスに関わる人々は多岐に渡るから多様な関係者を調整・統括しながら、一貫したコンセプトのもとで新製品開発を実施していかなくてはならない。

 

第1段階製品コンセプトの開発

 

【1】製品アイデアの探求

新製品開発の第1段階は、アイデアを出すことから始まる。製品アイデアとは、市場に提供するその製品固有の機能のことである。この段階では、さまざまな情報ソースを駆使して、できるだけ多くのアイデアを創出することが求められる。新商品のアイディア創出は、大きくシーズ発想とニーズ発想に分類される。

シーズ型のアイデアは「我々の強みを何かに利用できないだろうか」という問いかけから始まり、ニーズ型のアイデアは「このようなニーズがあるが、何か解決できる方法はないものだろうか」という視点から生まれる。

前者は、社内の技術開発グループや担当者個人の創意発案がもとになることが多い。また後者は、顧客層別のモニターグループによるフリーディスカッションなどを通して発見された、顧客が漠然と心に抱いている不満や問題点に対する解決方法として生まれることが多い。

前者の例として、液晶テレビのようなハイテク製品、後者の例としてはアンチエイジング用化粧品のような消費財が挙げられる。

一般には、新製品や新規事業を成功させるためには顧客ニーズを無視することはできないので、ニーズ型の発送が重視されることが多い。しかし、新しい市場を創出しようという時、当初はニーズが明確につかみにくく、自社の強みを生かすシーズ型のアイデア開発が有効なこともある。また、シーズ型製品とニーズ型製品を明確に区別しにくいこともある。CD 、電子レンジ、パソコンなどがその代表例だが、基本技術は別の目的で開発され、あとから消費者の潜在ニーズに合わせて、より低価格で使いやすい形で登場している。つまり、アイデア開発はニーズとシーズの両面から行う必要がある。製品アイデアは、ブレーンストーミングのような手法によって創出するケースと、ある一個人の頭脳から生まれるケースに分けることもできる。ある研究によれば最も斬新なアイデアは、大勢でブレーンストーミングをした後に、各人がじっくりと考えているときに生まれると言う。

企業としてはシステマティックにアイデアを出し続けられるように、何らかの仕組みを用意することが必要である。最近は、社内に広くアイデアを募るような企業や、社内ベンチャー制度を設ける企業も増えている。こうした取り組みは上手くいけば社員の問題意識を高め組織の活性化にもつながる。

 

【2】アイデア・スクリーニング

 

製品開発は具体的な段階になるにつれて、加速度的にそれに関わる人材も増え、開発コストがかかってくる。従って、多面的でユニークなアイデアをできるだけ多く創出する努力を続ける一方で、早い段階から、成功する確率の高いアイデアを絞り込み、開発に向けて優先順位をつけなければならない。これが、アイデアのスクリーニングと称されるプロセスである。

創出されたアイデアは、理念や戦略ドメイン、経営資源、経済性、市場性、実現性などの観点から、ふるいにかけていく。企業規模が大きくなるほど、客観的かつ全社的な統一基準を作り、チェックリストなどを事前に作成するようになる。単にアイディアを説明するだけではなく、「誰に対してどのようなベネフィットを持った製品を、どのように提供していくのか」といった概要、予測される事業規模、採算見通しなども付加して提出し、経営陣の審査を受けるのが通例である。

経営陣は一般的に、すでに競合先が開拓した成長市場への参入には積極的でも、潜在ニーズを顕在化させるような新製品の投入の意思決定には消極的になりがちである。

しかし、後追いを繰り返していたのでは、さらなる飛躍は望めないばかりか、創造性のない企業というレッテルを貼られてしまう。時には「それまでの常識を疑う態度」を持つことも必要である。もちろん常識の有用性を否定するわけではないが、常識に頼っている限り、過去からの延長戦状での成功はあっても、それを超えた画期的な成功は望めない。実際に、常識によってスクリーニングされたアイデアは、常識的な製品で終わってしまうことが多い。