パッケージ・デザイン、テストマーケティング、製品生産

パッケージ・デザイン、テストマーケティング、製品生産

パッケージ・デザイン

パッケージングは、製品の保護だけでなく、デザイン性や利便性などによって消費者を惹きつけ、中身以上に購買意思決定に大きな影響を及ぼすこともある。

パッケージのデザインは競合製品との重要な差別化要素となる。

ビールや清涼飲料は、飲料そのものでの明確な差別化がしにくいため、パッケージのデザインに工夫を凝らして、各社が競い合うケースが多い。1995年2月に売り出されたサントリーのモルツのパッケージに対し、サッポロビールが自社の黒ラベルに酷似していると訴えたことは、パッケージの持つ機能やビジュアル効果がいかに重視されているかを物語っている。パッケージの素材、質感、色調などはブランドイメージの表現にも重要な役割を果たす他、パッケージの形状は使いやすさや利便性を左右することもある。

パッケージは情報提供という点においても、重要な役割を担っている。

例えば顔が掃除用具のクイックルワイパーを投入した時、新しい概念の製品だったことから、パッケージのスペースを徹底的に利用して製品の特徴や使い方の説明を行った。箱の表には、製品名と「簡単にフローリングのホコリや髪の毛を残らずキャッチする」という製品コンセプトで、さらにスイスイとフローリングの床を掃除しているテレビ CM のワンカットを表示して、テレビ CMとの相乗効果を狙った。また製品イメージがつかめない消費者のために、小窓を設けて箱の中が見えるようにした。さらに、使用説明や品質、注意書などは両サイドに集中させて、裏面にはイラスト入りで様々な使い道いや多岐にわたる効用をコンパクトにまとめて提示した。
優れたパッケージは、ロジスティクスの効率化や省資源化などの点でも貢献する。かつてリプトンは船で紅茶を輸出するにあたって、貴重な船内の貨物スペースを有効に使うために、現在のような立方体のパッケージを考案した。キリンビールの缶チューハイ「氷結」などで見かけるダイヤカット缶には、ミウラ折りという人工衛星にも使われている特殊な折りたたみ方の技術が用いられている。これによって、プルを開けるとダイヤモンドが浮かび出てくるという面白さやデザインの美しさだけでなく、強度を落とすことなく従来の缶よりも30%の軽量化を実現している。このようにパッケージングは様々な役割を果たし、マーケティングにおいて重要な意味を持つため4 P に続く「第5の P」とされることもある。

 

7.テストマーケティング 8.製品生産

 

次の段階ではテストマーケティングを実施して最終的にデザインやブランドパッケージングなどの製品仕様を決定し、その後に生産体制を組むことになる。テストマーケティングは多大なマーケティング費用の支出を伴うことになる。全国発売に向けた最終調整の場である。顧客の反応が良くなければ、修正を加えたり発売中止としたりすることで、多額の浪費や流通に対する信用の失墜を未然に回避できる。潜在需要の大きさを測ることで、本格発売時の供給不足による機会損失の防止できる。さらに、全国発売にあたって広告や販売促進の方法を考える上での参考にもなる。
一般にテストマーケティングは、限定地域での反応を元に全国発売した時の状態を予測することになるので、できるだけ異常値が出にくい地域を選ぶことが重要になる。国内では、テストマーケティングの場として静岡県や北海道がしばしば選ばれる。消費者の購買力や購買特性などが全国平均に近く、地勢的にも夜間人口と昼間人口の移動が少ないなど「試験管的」にテストを実施できるという理由からである。
しかし一方で、テストマーケティングを行えば新製品を競合の目にさらすことにもなり、その製品の市場性の高さを知らしめ、他社の参入を助長するというリスクもはらんでいる。また、精密の結果を得ようとすればするほど、時間とコストがかかる。市場環境の変化が速い場合には、こうした時間やコストは命取りになりかねない。