マーケティングの意義とプロセス2

マーケティングの意義とプロセス2

マーケティング戦略策定プロセス

マーケティングでは顧客ニーズを組み上げ開発や生産販売などの様々な活動を連動させながら顧客にとって価値のある製品や情報を提供していく。その青写真を描くためにマーケティング戦略を策定するわけだがそれは一連のプロセスをたどる。ここでは戦略策定プロセスを、大きく次の六つのステップに分けることにする。

 

①環境分析

事業に影響を与える内外の様々な要因により構成されるマーケティング環境の分析を通して、市場の機会と脅威を整理し、自社の強みや弱みを再確認する。

 

②マーケティング課題の特定

マーケティング課題を洗い出し、今回取り組む課題とマーケティング目標を明確にする。

 

③セグメンテーション市場細分化ターゲティング

顧客市場をグループ分けして、どの顧客セグメントに焦点を当てるかを決定する。

 

④ポジショニング

競合製品と差別化し、顧客にアピールできるような自社製品の提供価値を決定する。

 

⑤マーケティングミックス

いかに有効な製品戦略、価格戦略、流通戦略、コミュニケーション戦略を組み合わせて実行していくかを決定する。

 

⑥実行計画の策定

マーケティングミックスを実現するための行動計画を策定し、 予測損益計算書を作った上で、その戦略シナリオに沿ってオペレーションやモニタリングの仕組みを整備する。

 

これらは通常の戦略策定の流れとほぼ共通しているが、特にマーケティング特有の視点が含まれる①から⑤の各論ついては、別途詳しく解説していく。

 

①環境分析

マーケティングへの第一歩はマーケティング環境分析を行いその中から市場機会と脅威を整理し、自社の強みや弱みを踏まえた上で市場攻略の方向性を見出すことである。全ての企業にとっての市場機会ではなく、自社にとって魅力的でかつ競合他社に真似できない強みを発揮できる市場機会を探さなくてはならない。

 

②マーケティング課題の特定

環境分析をすぐに詳細な資料分析や具体的な施設の検討にうつるのではなくマーケティング活動を通して何を実現したいのかということを今一度を明確にしておく。その手順としてまず環境分析で整理した機会や脅威、自社の状況を念頭に置きながら、自社にとっての課題を洗い出す。自社の経営方針、経営資源、事業特性などに起因する制約条件を整理し、 それらを加味しながら優先順位を考える。そして優先的に取り組むべき課題やマーケティング目標を設定するのである。これ以降の戦略策定プロセスではここで特定した課題や目標を睨みながら、最も効果的だと思われる施策の検討を進めていくことになる。

 

③ セグメンテーション、ターゲティング

マーケティング課題を特定し、自社にとってのマーケティング機会を発見したら、次のステップは、その市場にどのようにアプローチするかを検討することだ。市場全体に均等にアプローチするのか、最も容易に参入できそうなところから始めるのか、市場攻略のやり方を考えていく。限られた経営資源を有効に使うためには、資源配分に濃淡をつけた方が良い。一般的には企業は市場を何らかの基準でセグメントに分けて(セグメンテーション)、競争上最も優位を保てるセグメント選び(ターゲティング)、そこにエネルギーを集中させて資源の効果的活用や経営効率の向上を図っていく。

十分な経営資源を持たない企業の場合は特に、セグメンテーションとターゲティングの巧拙がその後の成果を大きく左右する要因となる。ターゲット市場が狭すぎると経営が成り立たないし逆に広すぎれば大手との競争に巻き込まれるかもしれない。

 

④ポジショニング

ポジショニングの目的はターゲット市場において自社製品が競合製品より相対的に魅力的であると顧客に認知してもらうことにある。顧客ニーズを十分に認識した上で、競合が強い地位を閉めていないポジションで、かつユニークで魅力的な存在として自社製品を受け止めてもらえるポジションを見つけ出していく。

 

⑤マーケティングミックス

マーケティングミックスとはターゲット市場においてマーケティング目標を達成するためにコントロール可能な様々な手段である。

一般に、

 

・製品戦略(Productプロダクト)

・価格戦略(Priceプライス)

・流通戦略(Placeプレイス)

・コミュニケーション戦略(Promotionプロモーション)

 

を総称した4 P をさすことが多い。

 

プレイスがチャネル戦略、プロモーションはプロモーション戦略と呼ばれることもあるが、ここでは「流通戦略」と「コミュニケーション戦略」という用語を使うことにする。

 

4 P は現代マーケティングにおける最も重要な概念と言えるだろう。

 

例えばどんなに魅力的な製品を創造しても(製品戦略)、その情報が相手に正確に伝わらなければ( コミュニケーション戦略)、販売には結びつかない。製品の情報が伝わって顧客が興味を持ったとしても、その製品がどこで手に入るのかが分からなければ(流通戦略)、購入しようにもできない。また、顧客が店頭で製品を手に取ったとしてもその価格が期待値から大きく逸脱していたなら(価格戦略)、購入を断念するだろう。

4 P を検討する時には、それぞれを個別に扱うのではなく、各要素を上手く組み合わせてマーケティング目標を達成することがポイントとなる。4 P の各要素は独立したものではなく相互に密接に関わっている。例えば長期にわたって低価格路線を敷く一方で、膨大な広告投資を続けるというような戦略では整合性を欠き、企業の健全な成長への阻害要因ともなりかねない。前のステップで決定したターゲット顧客及びポジショニングを踏まえながら、四つの要素が整合性を持つようにトータルな視点で検討しなくてはならない。

 

⑥実行計画の策定

マーケティングミックスを実施していく際には予測損益計算書を作って戦略シナリオ立て、具体的なアクションが起こせるように行動計画を策定する他、モニタリングの仕組みを整備して進捗確認や軌道修正を行うことが重要である。

顧客策定によってターゲットから具体的な政策である4 P までが明らかになっただけでは直ちに実行に移せるわけではない。 最初に検討すべきなのは資金的な裏付けである。数値に落とし込めていないマーケティング計画は、絵空事でしかなく、実行可能かどうかの判断はできない 。

4 Pの実現に向けて「誰が」「何を」「何時までに」「どのように」やるのか。それには一体いくらコストがかかるのか。あるいはどの程度コストをかけることが許されるのか。こうした問いに答えるためには売上予測、必要な費用、利益予測を明確にした予測損益計算書を作成し、「いくらで」「どのくらい」「何時までに売れば良いのか」を明確にしなくてはならない。その際には、短期目標と中長期目標との整合性にも留意したい。一定の成果を達成するのに1年を目標とするのか、もっと長期スパンで良いのか。それによって価格設定や広告費などの予算配分などが大きく変わってくる。 目標を具体化明確化するだけでなく、そのためのアプローチや方針も明らかにしておきたい。例えば目標売上高を達成するために、品質やイメージを若干落としてでも売りやすい低価格にして顧客数を増やす戦略にするのか、品質やイメージを維持するために数量よりも顧客単価を高める戦略をとるのか。それによって効果的な動き方も変わってくる。さらに目標設定の根拠を明確にしておくことも重要だ。これは最終的には経営陣の決定事項であるが、 非現実的な目標を課したりすれば、初めから目標達成に向けた努力をあきらめてしまったり、がむしゃらに働いてもその目標は達成できず、その努力は報われないので士気低下を招いたりする。 非現実的な目標達成に向かって組み立てられた戦略には無理が生じやすく、広告費の無駄遣いや過剰在庫などが起こることも考えられる。

戦略シナリオができればそれに沿って行動計画を立て実施状況をチェックするためのコントロールシステムを整備していく。行動計画では担当部門、担当者が行動に移せるような具体的なオペレーションを設定する。その際には、大きく掲げたマーケティング目標をブレイクダウンして、取り組むべき行動がイメージできるような、より具体的な目標値や指標を設定することがポイントとなる。目標を実現するための方法論は幾通りも考えられるので、適切な指導を選んでおかないと、その時々で大当たり的な対応をして全体の整合性を損なってしまう恐れがある。

重視すべき指標が決まったら、出来る限り数値化する。売上なら量や金額、利益なら率や絶対額、シェアなら占有率や変化率と言ったきめ細かな設定が望まれる。というのは、 マーケティングでも他の企業活動と同じように、 PDCA (Planー Doー Checkー Action) のサイクルを内在化させる必要があるからだ。計画値との乖離を常にチェックすることで進捗を管理し、必要に応じて修正コードを検討するかどうかを判断できるようになる。

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