環境分析と市場機会の発見3

環境分析と市場機会の発見3

市場の機会と脅威

 

機会と脅威の分析

 

市場の機会と脅威は通常外部分析から導かれる.

しかしながら、他の企業にとっての機会が、必ずしも自社にとっての機会となるわけではない。一般的な市場の機会に自社の強みがうまく合致した時、あるいは弱みだと思っていた要素を強みで転換し、市場の機会と結び付けられた時に、最大の機会が生まれる。

市場全般の脅威が反対に機会となる場合もある。例えば円高は自動車をはじめとする輸出型の企業にとっては、通常利益を押し上げる要因になる。しかし別の側面から見れば海外企業の企業価値が相対的に下がるため、M&Aを検討している企業にとっては海外の有力事業買収の機会となる。つまり、輸出型企業にあっても円高は追い風になりうるのだ。

 

機会と脅威-2面性

 

市場全般の機会がすべての企業にとって等しく機会であるとは限らないと述べたが、機会と脅威には二面性があることも忘れてはならない。

即ち、同じ企業であってもとらえようによっては機会が脅威になるし、脅威が機会にもなる。

例えば規制緩和がその良い例である。従来の秩序を崩してしまう規制緩和は業界内のルールに従って優位性を築いてきた大手企業にとっては通常脅威となる。しかし見方を変えれば、規制緩和で行動の制限を解かれ、より自由に動けるようになるので、様々な機会を秘めている。

機会と脅威はひとつの事象の表裏と言えるだろう。企業はある事象を発見した時にそれを早計に脅威と捉えるのではなくこれを機会とすることはできないかと考えなくてはならない。そうした頭の切り替えができるかどうかは常日頃から環境変化を把握し準備をしているかどうかにかかっている。自社の強みと弱みを把握し環境の変化が脅威をもたらす前に察知して未然にリスクを回避する戦略を構築し、競合他社よりも早くそれを事業に結びつける、バイタリティこそが企業の生死を分けるのである。また機会と脅威を見つける際には前述したように環境の変化を本質まで掘り下げて分析することが不可欠だ。例えばブライダル産業の売上が伸び悩んでいるという事実があったとする。これを単純に捉えて市場が成熟し魅力のない市場になったと考えてはならない。まずその原因が結婚式を挙げるカップル数の減少によるのか、それとも平均単価の低下にあるのかを探る。そして仮に平均単価の低下であるなら、なぜそうした事象が起きているかを分析する。このように掘り下げていけば例えば特定セグメントの潜在ニーズを掘り起こすことで高付加価値、高価格のブライダル事業を生み出せそうだ、という示唆を導き出せるかもしれない。

自社の強みを弱みに変える

 

市場の脅威を機会に変える方法がもう一つある。「自社の強み・弱み」を再度見直してみることだ。

例えばある家電製品の市場が伸びそうだが、自社には流通チャンネルがなかったとしよう。流通チャネルがないということは一見大きな弱みのように思われるが果たしてそうだろうか。実際には通信販売などの新しい事業形態のチャンスがあるかもしれない。しかもライバルは既存の流通チャネルを持っているがゆえに新しい事業形態を使うことができないということもあり得る。一見短所に思われる特徴を、視点を変えることによって 長所に転じた例は枚挙にいとまがない。だが、単に弱みを強みにというスローガンを唱えるだけでそう簡単に実現するものではない。逆転の発想で成功した企業の配合には必ず地道な努力の積み重ねがある。

 

市場機会を創造する

 

自社にとっての市場機会は発見した事実の中に「ある」ものではなく、その事実を企業がどう捉えるかによって「創り出される」ものである。

 

マーケティング課題の特定

 

一般的な市場の機会と脅威に、自社の強みと弱みを重ね合わせることで、自社にとっての市場機会が見出される。その機会をとらえてうまく活用するためには、マーケティング活動によって何を実現したいのかを明確にし、それにはどのような課題があるかを洗い出し、それぞれの重要性を勘案しつつ優先順位をつけておくことが大切である。このステップを踏むことで課題を克服するための施策が考えやすくなり有効性も高まる。

なお、重要課題の特定にくわえて、制約条件にも注意を払っておく必要がある。親会社の方針、経営資源の不足、関係者との過去の経緯といった社内要因はもちろんだが、それ以外にも、思わぬ規制が明らかになった、技術上・物理的に難しいことが分かった、事業特性に起因する問題がネックになっているなど、様々な障害が出てくる可能性がある。いざ実行という段階で出鼻をくじかれることになりかねないので、こうした制約条件を把握した上で、それを織り込んでマーケティング戦略を立てていくことが望ましい。